こんばんは。
最近薬丸岳さんの作品の紹介が多いと思われるかもしれませんが、
私、生粋の薬丸岳さんの作品のファンですので仕方ないんのです。
薬丸岳さんの「誓約」で始まり、「天使のナイフ」で完全に虜になりました。
薬丸さんの作品の魅力は、大体重いものがテーマであることが多いのですが、それ故に考えさせられ自分の糧となっているということ。
また、人間は極限状態であれば、誰しも犯罪を犯してしまうものであると主張しているように感じます。
この作品もそんな主張が描かれているかもしれないひとつではあると思うのですが。
この作品は、一言でいうと「母親の執念の復讐」でしょうね。
まず、冒頭に自分の娘が心神喪失した犯人に殺されることから始まります。
心身喪失していますから、刑法三十七条が適応されて犯人は不起訴となり罪に問われませんでした。
そんな犯人と刑法三十七条への復讐が被害者遺族の母親から執行されていきます。
ここからはネタバレになってしまうのですが、
母親は心身喪失の定義のあいまいさを逆手に取り、自分が心神喪失であると医師に診断させ、犯人を殺害しようと計画していたのです。
これが明かされるのは物語本当に最終段階です。
そんで罪を逃れて釈放された後、自分が心神喪失していないエビデンスをもって自主するという、まさしく刑法三十七条と犯人への復讐をしようとしていましたが、
犯人自身は本当に心神喪失状態の患者で、実際自己責任がもてるような状態ではありませんでした。
復讐を企てていた母親は鬼になり切れず、犯人に同行していた女性が犯人をかばったことで踏みとどまってしまったことから犯人に逆襲を受けます。
それを助けるのがこの物語の主人公であり、元夫なんですがこの夫なかなか良い奴です。
真実を知った夫は、作家である地位を生かし今後自分が負った心の傷を記事にし、この問題と向き合う決意をします。
この物語を読んで思ったのは母親の執念。
母親とは、自分の子を失ったことに対する喪失感というのですかね。
その想いが一段と強いのだなと感じました。
私は男なのでそんな風に思えるかは謎ですが、自分の近くにいる人にはこんな思いをけっしてさせたくないなと思いました。
まあこんな状況になる可能性も0ではないので、せめて自分が愛した対象は自分の手で守り抜きたいですね。
こんなこと決して経験させたくないです。
自分の近くにいる人には、そのために常に礼を尽くしましょう。
それさえできれば人間はきっと、うまく生きていけるでしょう。
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和泉。