こんにちは。
今日は薬丸岳の作品の一つである「死命」を読んだので感想を書いていこうと思います。
話のおおざっぱな内容は、女性を殺したいという欲望を今までずっと我慢してきた榊が、胃がんになり余命宣告をされたことからその欲望に身を委ね、女性を殺していくといった流れで進んでいきます。
聞いているとちょっと理解し難い内容ですが、そんな感じなんです。
榊は、過去に虐待を両親から受けており、そのせいで人を殺したくなってしまう禁断症状が出て、それが出ると本人もその感情を制御することができないのです。
そんな犯人を追うのが、刑事の蒼井ですが、実は彼も胃がんと診断されており、余命が幾ばくも無い状態でした。
しかし、刑事の蒼井も身を削りながらも捜査の前線に立ち続け、先のある女性たちを殺す犯人を逮捕することに全力を注いでいきます。
見どころは、身体がいうことをきかなくなっていく中、榊は欲望を糧に女性を殺し、蒼井は今は亡き妻の想いに報いるため捜査を続けます。
その時の身体がどのくらい動かなくなっているのかが、鮮明に描かれていて読み応えがあります。
榊が女性をころしたくなってしまったのにも、過去の壮絶なトラウマからであり、蒼井が家族との時間を削ってまで捜査を続けたのは亡き妻との約束からでした。
「よく過去は変えられないが、未来は変えられる」というポジティブな考えを耳にします。
確かに過去は過ぎ去ったことだし、未来を幸せに生きるというのは大事なことですが、過去を乗り越えるのは相当難しいんでしょうね。
壮絶な体験をしてしまった人ほど、きっと「よく過去は変えられないが、未来は変えられる」のような考えはできなんでしょうね。
そして、小説の最後、榊も蒼井も同じ病院で息を引き取ります。
しかし、榊と蒼井の死にざまの印象はだいぶ異なっていました。
それが欲望に身をゆだねたことと、信念の下に行動したかの差なのでしょうか。
しかし、現実がこれと同じになるかは置いておいて、やはり人間は意思を持ち行動することに意味があるのだと感じました。
ざっくりした内容になってしまいましたが、こんな感じです。
今回自分がスポットを当てたのは、この二人でしたが、ほかにも重要なファクターとなる登場人物もいますので、ぜひ本を読んでみてください。
では、ありがとうございました。
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和泉。