おはようございます。
今日はもう第3弾まで感想投稿したということで今現在(2020/6/14)に出ている最後の刑事夏目シリーズ第4弾の感想について投稿していこうと思います。
このシリーズを読むきっかけとなったのが第3弾の「刑事の約束」でしたがまさか全部読むとは思っていませんでした。
このシリーズのいいところは、「この鏡は嘘をつく」に関しては当てはまらないのですが、他の3作品に関してはすべて短編集のような形をとっていて非常に読みやすいこと。
また、すべてのシリーズを通して、刑事夏目による捜査が描かれている点だと思います。
夏目のような複雑な状況に陥ってしまった人間だからこそ、どんな人にも誠実に、そして、真実を突き止めていくところがこの刑事夏目の魅力であると考えています。
さて、今回は「刑事の怒り」ですが、4つの短編になっています。
自分がフォーカスを当てていきたい話は二つありまして1つは「生贄」、もう一つは表題の「刑事の怒り」になります。。
まず、生贄についてさらっと読んだ感想を書かせていただくと、夏目の真実を追う姿勢があだとなり、、、あだというのが適切な表現かはわかりませんが、信念をもって行った人の行動(犯罪)の意味を無力化してしまうこととなってしまいました。
真実が明かされる前の事件の概要は、こんな感じです。
公園で男に捕まり、トイレで強姦され、自衛の目的で持っていたナイフで相手を殺してしまったという内容のものです。
犯人の女性が警察に捕まったあと、動画サイトでその時の心中を語った動画が投稿されます。
その動画で、男は欲望の塊だ、身を守るためにいざとなったら殺してしまったほうがいいとそんな内容のメッセージを伝える動画でした。
夏目は特に大きな矛盾はないものの、終始違和感を感じ捜査を継続していきます。
そして、夏目は襲われた女性の目的は、自衛ではなく上記で紹介した女性へのメッセージであること。
そして、今回の犯行は襲われたのではなく、そのメッセージを伝えるために犯した犯行であったことがわかってしまいました。
彼女がこの犯行に至った経緯は、彼女自身が昔、性犯罪の被害にあっていたことと、彼女を慕ってくれていた友人の女性が性犯罪に合い、不幸な人生へ転落してしまったのが、動機でした。
彼女はこのようなことを言っていました。「女性は性犯罪にあったら感情が失われる。残るのは男への増悪だけ」と。
結果、夏目の捜査がきかっけで彼女の人生をかけた訴えは、ほぼ無力化してしまいました。
いつもは人の心を救っていた夏目でありますが、真実を追求するということは時にこんな事態を招くのでしょう。。。
そんな中で一つ事件を挟み「刑事の怒り」へ移行します。
今回は、自分で動けない。脊髄損傷をしてしまった人が自殺したのかどうかという焦点で物語が進んでいきます。
この短編は非常に考えさせられました。
まず、犯人の供述は、普段は痛み等感じてしまうことから鎮静剤のようなものを投与され、動けない患者を犯人が動ける状態にし、生きるか死ぬかは自分で決めさせるという自殺幇助の罪に問われます。ちなみにそのうち一人は犯人の親友でした。
犯人は、この方法で二人の自殺幇助をしたと供述していました。
しかし、夏目はまた違和感を感じていました。
自殺したとされる二人の患者は共に、献身的に尽くしてくれていた家族や恋人がいたのです。
自殺したらこの自分に尽くしてくれた家族や恋人がどう思うか考えなかったのかと。実際、献身的に尽くしていた家族と恋人は生きる意味を失ったかのような、抜け柄のようになっており、自分たちは本人が望んでもいないことをしてしまっていたと心を痛めていました。そして、それを本当のことであったと受け入れることができないそんな状況でした。
献身的に尽くしていた家族と恋人は「本人たちは生きるのを望んでいた」と賢明に夏目に訴えていました。
夏目は自分の娘が同じような境遇であったためか、献身的に尽くしていた家族と恋人に共感し、犯人が言っていることに対して違和感を強めていきました。
そして、最後は恋人が生きる希望を与えるために送った時計から、犯人の指紋が検出され、犯人が犠牲者の手を使って人工呼吸器の管を外させたことを突き止めました。
犯人は、動けない患者の恋人にずっと片思いをしていました。
患者の恋人の前では、「俺達は親友」と語っていたようですが、実際は学生時代、パシリのように扱われていて患者のことを思ってそばにいたわけではなく。
その患者の恋人と長い時間を共有することを目的に献身的に尽くしていたふりをしていたようです。
そしてもう一人殺したのは、自分の犯行を隠すため、、、。
夏目は同じ立場であった遺族側の心情が手に取るようにわかってしまったからか。
真実がわかってしまったとき、夏目シリーズで初めて怒り狂います。
今まで夏目のこんな表情が描かれていなかったことから、夏目に対してより人間味が増し、魅力的になったように感じました。
まあ、やっぱりどんな悟りを開いた人でも、所詮は同じ人間、怒りに任せてふるまってしまうことあるってことでしょう。
薬丸さんは、だからこういう物語を描いているのかもしれませんね。
人はどんないい人でも、過ちを犯してしまう。だからその人のことを理解しようと。
でも、こんな甘い綺麗事では終わらせることはできないでしょう。
なぜなら、人の良心を利用したり、自分を守るために無関係な人を殺してしまう人も事実存在すると思っているからです。
まあだから夏目のような人柄を見抜く観察眼、これを磨いていくべきなのかもしれませんね(笑)
長くなりましたが、以上になります。
見てくださった方ありがとうございました。
下記はAmazonのリンクです。
https://amzn.to/3iTGF5Y
和泉。