今回はくわがき あゆさんの「レモンと殺人鬼」を読んだ感想を投稿します。
この作品は小林美桜という気の弱い少女の目線から主に展開されていきます。
美桜の妹の妃奈がが何者かによって殺害されますが、妹の生前の行動や周りで起きた不幸からマスメディアが騒ぎ立て、
被害者であった妹の妃奈が、あたかも保険金殺人を行った加害者のように囃し立てられてそのマスメディアの影響は美桜のところまで及ぶようになります。
美桜は妹はそのようなことをする人ではないと信じ、妹の潔白を晴らすために動きます。
その過程で小林家であった不幸な境遇や過去の回想が語られていき、妹の潔白が確定的になった時に美桜の母が何者かによって殺害されます。
小林家は過去、父を殺害されており、その犯人である佐神は行方知れず。
自分以外の家族が全員何者かによって殺害されたことにより、自分も被害者になるのではないかという、矛先が突然自分に向けられたかのような緊張感がありこの展開は見事としか言いようがありません。
この後の展開は、ここでは詳しくは描きませんが、どんでん返しからのどんでん返しで最後はまさかの結末です。
これはミステリーではありますが、1人の少女が自分の人生を生きる決断をするまでの話なのかも知れません。
ここまで作品の内容について記載しましたが、展開が徐々に広がっていくので終始面白かったです。
妹の潔白が証明されるまでが約半分、その後の自分が狙われているという事実に気づき周りの人たちを疑い始める展開からクライマックスまでがもう半分という形になっているので、最初が退屈で最後激アツという感じではなく、終始段階的にボルテージが上がり、終始高い状態をキープしている感じで読み進められます。
この作品で良かったと感じる点は、終わり半分で明かされていく過去の回想の回想者たちが自分が想像していた人物と異なっていた点です。
そして、それを明かすタイミングも絶妙で「えっ、そっち」と頭の中で言ってしまうような意外性があります。
そして、過去の人物と現在の人物が重なり合った時の最後のクライマックスは面白さ抜群になってます。
少しここで読み込みが甘かったりすると展開についていけなくなるかも知れないので、是非しっかりと読み込んでからクライマックスに行っていただければと思います。
とても面白い作品でした是非みなさんも読んでみてください。
和泉。